不動産の売却時期

   

第1営業部・シュウトウです。

投資用不動産をお持ちの方と売却のご相談をさせて頂く際、しばしば「市況」や「相場」について聞かれます。
意味合いとしては「今は売るのに良い時期なのか?」というご質問、さらにその背景には「少しでも高い時期に売りたい」というご要望があるものと理解していますが、このお問い合わせへの回答がなかなか難しいのです。

まず、価格の高低について過去の事例と比較することは容易です。
またこれまでの相場の推移を概略としてご説明することも差し支えないと思います。

一方で、将来についてはっきりとしたことは言えません。

もちろん今後の市場動向についての個人的な感覚というか、経験に基づく所感はあります。
しかしそれはあくまで「勘」に過ぎませんから、いかに個人の所感とはいえ、それをお答えすることは職責上NGだと考えています。
「相場」のご質問に対して、将来との客観的な比較ができない以上はどうしても推論になり、推論をもとに売却の勧誘をすることは宅建業者としてあってはならないことだからです。

そのため、お客様の知りたいことは重々承知していても、真正面からのお答えは難しくなってしまいます。

また、これは非常に重要なことですが、「売り時」というのは現実的には売主様ごとに違ってくるという事実があります。

やむにやまれぬ事情があり売却しなければならないという場合を除いて、投資用資産の売却は基本的に簿価や残債とのにらみ合いになるものです。
売却時の現実的な利益(手残り金額)を基準に考えるときには、売買価格はもちろん大事ですが、どれだけ税金がかかるのかということも同じくらい大事な要素ですから、それだけでも「売り時」は変わります。

また、資金需要や資産入替、心情の変化など、売主様固有の事情がむしろ売却の決め手であることが多く、そうなってくると「相場」について語ることにどれほどの意味があるのか、疑問に思うこともあります。

翻って、そのような実相のもとで宅建業者として何ができるかを改めて考えてみると、お客様固有の事情にあわせて都度、我々が提供し得る最良の取引機会をご提示することしかないのだと分かります。

「相場」とは無関係に、購入希望者がいるという事情は売主様にとって有利に働きます。
そのため、弊社では購入希望者様からのオーダーに応じて、売却検討のご依頼をさせてもらっています。
「今この時、売却という選択をしたら実際にいくらで売れるのか」、それをきちんとご提示させて頂くためです。

弊社では売れるか売れないか分からない価格を査定額としてご提示することはしません。
そのため、ときには少し辛めの査定になることもあると思います。
しかしそれはあくまで現実的に売買可能かどうかを把握し、それを修飾なしにお伝えするからこそ。
お客様の関心を引くためだけの無根拠な価格提示はしません。

そのうえで、お客様のご希望金額との条件調整が可能かどうか具体的にご相談させてもらっています。

ご希望の価格水準で現にご紹介可能な購入希望者様がいるのかどうか、それが難しい場合には残念ながら弊社では十分なご協力はできないということですから、媒介契約を頂くことはあえてしていません。
弊社にとってご相談を頂けるのは大変ありがたいことですが、だからこそご協力の辞退も弊社としてはしかるべき応接と考えています。

提供し得る最良の取引機会をご提示させて頂き、売主様の条件に合わなければ無理なお願いはしない、それが弊社がすべき最良の業務と考えます。

「相場」ではなく「今いくらで売れるか」を知りたいときは、ぜひご一報ください。

 - 1F 第1営業部